演劇ぶっく

見開きの写真が以蔵とおミッちゃんの三々九度の真似事の場面。
以蔵が指を2本出して「2?」と表情で問いかけ、おミッちゃんが指を3本だして「3」と笑顔で答える場面。
一気に舞台のあちこちの場面がぐるぐると頭の中で回りました。
やはり最後は黄色い花吹雪の中を歩いて行く以蔵の後姿。
あーーー。やっぱりまだダメだ。泣いてしまう。

剛ちゃんはあんなに以蔵だったのに、観客にどうやって見えているか聞こえているかを考えていたんですね。
プロなのだから当たり前なのでしょうけれども、やはり素人から見ると吃驚です。
頭の一部は常に冷静で自分を客観視してる。
憑依してるようなのに見せ方もちゃんと考えていて。
鳥肌が立ちました。凄い職業だ。

粟根さん、山内さん、池鉄さんの対談がよかった。
剛ちゃんのことを語る言葉がとても嬉しい。
山内さんが剛ちゃんに対して「憑依」って言葉を使ってたのがすごくすごく嬉しかった。

田辺さんも武市と以蔵の関係に愛情をまぶしていたとわかってすとんと納得。
剛ちゃんも以蔵が武市に縋るところは女性的な気持ちで演じましたと言っていますし。

きっちりした主従関係の元、武市は以蔵を拾い上げ、剣の腕を磨き上げたという自負があっただろうし。
自分のものだと思っていたから、以蔵が自分の意思を持って行動しようとすることが腹立たしくて仕方なかったんですね。
2人が近すぎたのかもしれません。
源兵衛さんが、龍馬が、おミッちゃんが差し伸べてる手を取っていたら以蔵は自分の目で変わっていく日本を見ることができただろうに。
あの舞台は今もぎゅうぎゅうと心を締め付けます。